皆さん、こんにちは!TOMO-Zドラム教室の島田友博です!
今回は生徒さんから質問の多いチューニングについて書きたいと思います!
ドラムのチューニングが難しいと思われてる原因は、「これが正しい音」と言う、音楽理論上「正しい音」の定義が無い楽器だからだと思います!
「正しい音」とは音程であったり、音に歪が無いような音の事でしょう。
すなわち「綺麗な音」の事!
そもそも打楽器に「綺麗な音」を出すのは困難です。叩いて音を出すという特性上、ぶつかる音(いわゆるアタック音)を中心として音を形成するからです!
ではまず「音」とは何なのでしょうか?

目次
音とは
「音」とは音波であり、空気が振動して伝わる物です!
その空気の振動の幅が広い(大きい) or 狭い( 小さい)かが、周波数(Hz)となります。振幅(振動の幅)が大きいと低い音、小さいと高い音になります。
そして、音程として国際的に決められた基準の周波数があります。その基準の音低がA音(ラ)=440(Hz)です。「※同じA音でもオクターブ高ければ880(Hz)、低ければ220(Hz)です。」
基準音について詳しくはこちら
音程と音階と周波数
音程や音階と周波数の解釈は、平均律、純正律等と言った専門的な基準があるらしいですけど、ここではそいう話がメインじゃないので割愛させて頂きます。詳しく知りたい方はこちらのサイトが詳しく書かれてると思いますので参考にして下さい!
チューニングとは
色んな楽器=ギターやベース、バイオリン、サックス、トランペット、ピアノetc・・・は演奏前に必ずチューニングと言う儀式(笑)を行います。
チューニングとは決められた音程:C(ド)D(レ)E(ミ)F(ファ)G(ソ)A(ラ)B(シ)の周波数に限りなく近づくよう揃える作業の事をいいます。
ピアノの場合は手軽にチューニングが出来ない楽器で、定期的に調律と言う作業をしています。
チューニングと言う作業をしないと、一緒に演奏する楽器毎に音程がずれているので、合わさると気持ち悪い音になってしまします。だから、音階楽器の皆さんは必ず、演奏前にチューニングをします。
すぐにズレるチューニング
ギターの人がライブ中に途中でチューニングしている所を見た事ありませんか?
これは演奏すると弦を弾くのでだんだんとチューニングがずれていくからなんです。弾く事による影響と、照明などの熱の影響でチューニングってすぐにズレるんです。
キーボードやシンセサイザー等の電子楽器は電気的に音を作り出しているので、ズレる事は有りませんけどね(笑)
ドラムもチューニングするの?
ぶっちゃけ、ドラムはチューニングをしないで演奏したとしても楽曲の音律をみだしたりする事はほとんどありません。(その理由は後述します!)
じゃ、ドラムってチューニングいらないじゃん!
って思わないで下さいね(笑)
ドラムにも音程は有ります!
ここでいう音程とは、「ド」や「レ」と言った音程の事では無く、「高いか」「低いか」の違いです。
基本のドラムセットにはタムは1stタム、2ndタム、フロアタムと有りますよね?
普通は口径の小さいタムの方が大きいタムよりも高い音程になっています。
しかし、チューニングがめちゃくちゃだと、タムの音程差がほとんど無い、もしくは逆になっている場合が有ります!
ドラムセットのチューニングがめちゃくちゃになっているシチュエーション
ケース1
練習スタジオで前の人が3点セットしか使用しないドラマーだった場合、2ndタムは取り外されてる事があります。そんな時、1stタムと2ndタムのチューニングがめちゃくちゃになっている可能性があります。
ケース2
ライブハウスのドラムセットも色んなドラマーが使用します。対バンライブの時、自分以外のドラマーがみんな3点セットのドラマーだった場合、2ndタムは取り外されていて、自分の出番の時に2ndタムの音程がめちゃくちゃになっている場合が有ります。
ケース3
こんどもスタジオ利用時のケースですが、前入ったドラマーがジャズドラマーで3点セット使用だった場合、1stタムとフロアタムがかなりハイピッチ(高音程)になっている事が有ります。この場合も2ndタムだけかなり低い音程になっていますね。
他にも突き詰めれば、音程がめちゃくちゃになっているケースがあるかと思います!ドラムもチューニングは必要な楽器なんです!
ドラムは、決まった音程が無い楽器です!
では、ドラムのチューニングはどんな音に合わせれば良いのでしょか?

ドラムの音の特性!
ドラマーの皆さん、こんな経験ありませんか?
ある決めのユニゾンフレーズがあったとします。※「ユニゾン」とは全く同じリズムと音階で演奏する事です。
音階楽器のパートは決められた音階を演奏します。例えば、そのフレーズは音程が上がっていく音階だとします。だけど、ドラムは「低い音の所は低音のタムで順に高音のタムで・・・」みたいな感じに演奏しなくても、音程も揃えなくても変な演奏には聴こえない!しっかり「決め」のフレーズとして聴こえますよね?
それはなぜかと言うと、ドラムと言う楽器には正確な音程と言う物がないからです。
ドラムの音が他の楽器と合わさっても、おかしく聞こえない理由
ドラムは打面を叩いて音を出します。なので、その出た音にはいくつも音程が含まれているんです(これは倍音であったり、他の音程等)。※倍音についてはこちら
そして、分量が多く含まれる音程が耳に聞こえるから音程があるように聞こえます。
他の楽器と合わさっても、いくつもの音程が重なり合っているドラムの音は、特定の音程と合わさってもそれ程違和感なく聞こえるという事です!
それから、ドラムの音は短いです。音が合わさって不快に感じるにはある程度「音の長さ」が必要です。
4分音符以上の長さの音符で半音同士を鳴らすと大抵の方は不快に感じます。
だけど、8分音符以下の長さの音符でフレーズを弾けば、そこに半音同士の音がぶつかってもそれほど気になりません。
ドラムの音は短いので、たとえ違う音程の音として合わさっても変には聞こえないのです!
ドラムの音に特定の音程を設定するのは困難
ドラムには表面(打面)と裏面があります。※表ヘッド、裏ヘッドとも呼びます。チューニングを行う時、その面(ヘッド)を回りの円上にあるボルト(テンションボルトと言う)を締めたり、緩めたりして基本的には均一に張ります。
だけど、ドラムの演奏は叩いて音を出すので、面の叩く位置によって音は様々に変わります。だから仮に、例えチューナーを使って正確な音程をチューニングできたとしても、面(ヘッド)のど真ん中を2本のスティックで殆ど狂いなく毎回叩くという事は困難です。
しかも、面の張り方にしても、表ヘッドと裏ヘッドとでは条件が違います。片方表ヘッドは叩く事によって衝撃を受ける面で、裏ヘッドは叩かないので衝撃を受けない面。音程と言うのは音の振動の幅です。共鳴すると言う言葉を良く聞きますが、これは同じ音程の周波数同士がぶつかる事で、お互い振動し合うと言う事です。
表ヘッドを叩くと音波が裏ヘッドに向けて進みます。同じ音程(周波数)が出るようにチューニングしようとしても、先ほど述べたように、この時点で条件が違うので揃える事が難しいのです。※条件が違うので、テンションボルトの絞め具合が同じにはならない。
なのでドラムのチューニングにおいては、表ヘッドと裏ヘッドを完全に共鳴させると言う事は考えません。それをしようと思ったら、何時間かかる事やら(笑)※音には倍音が含まれるので、まったく共鳴しないと言う訳では有りません。
それから、ドラムと言う楽器は他の楽器と違い、『叩く』事で音を鳴らす楽器ですから、ヘッドにかなりの衝撃を与えます。なので、その「かなりの衝撃」によって、ヘッドが伸びたり、テンションボルトが緩んだりするのですぐにチューニングが狂います。せっかく何時間もかけて正確な音程を作ったとしても・・・すぐに狂います(涙)
ドラムのチューニングに欠かせないアイテム
ドラムのチューニングはどうしたら良いの?
これまで、ドラムには特定の音程にチューニングするのは難しいと説明してきました!!
じゃ、ドラムのチューニングってどうしたら良いのでしょうか?
ドラムのチューニングは音程を揃えるのでは無く、好きな音を作る事!
ドラムのチューニングはリム周りにあるテンションボルトを締めるたり緩めたりで調整します!
例えばスネアの場合ですが、スネアの周りには10個か8個のテンションボルトが有ります。※10個のスネアが多い。
このテンションボルトをすべて均一に締めると理論上は打面のテンションが均一になります。が、実際には均一に締めるのは難しすぎるのです。
ではどうするのか。
基本的には「ある程度」均一に締めるように心がけますが、あくまで「ある程度」で構いません。
表ヘッドと裏ヘッドの張り具合が違う事によって、音の伸び方(サスティーン)や衰退の仕方が変化します。
ドラムの音は打面でアタック音を含めた音色を調整し、裏ヘッドでサスティーンの長さや衰退音の変化を調整します。
そうやって、「自分の好きな音」を作りだせば良いのです!
ドラムの音色
ドラムの音色はそのドラム自体が持っている性能に通じる所が有ります!
最も音色に影響するのが「シェルの材質」です!
「シェル」とはドラムの側面部分の事です。
シェルの代表的な材質には、木製(メイプル・バーチ・ビーチ・マホガニー・ブヒンガetc)、金属(スチール・ブラス・アルミ・チタン・カーボンetc)があります。
材質にはそれぞれ特有の癖的なもの(図太い、明るい等)があり、その癖を生かしたサウンドを作る事になります。

ドラムのサウンドメイク
サウンドメイクはチューニングの事と同義ですが、マイクを通して最終的にスピーカーから出るorレコーディングされる音までを含む場合も有ります!
ここでは、チューニングの観点での話です。
好きな音を作るとは?
皆さん、憧れのドラマーがいる事でしょう。その憧れのドラマーのサウンドを真似したくなりませんか?
憧れのドラマーのドラムサウンドを作る事から始めて、そこから自分独自の好きな音に仕上げるのが分かりやすいと思います!
例えば、好きなドラマーのサウンドが明るいサウンドだったら、シェルの材質はメイプルで、表ヘッドを張り気味、サスティーンが短めだったら、裏ヘッドは表ヘッドよりも張り気味にします。
このように、チューニングは「自分の好きな音を作る事」と思って作業して頂ければ良いです。
「正しいチューニングが出来ているか」より「変な音(気に入らない音)が鳴っていないか」で大丈夫です!
実際の詳しいチューニング方法はまた別の機会に書きたいと思います。
チューニング<まとめ>
- ドラムのチューニングは「ド」や「レ」と言った音階に当てはめなくても良い
- 叩いて音を出す楽器の事を念頭において、チューニングを考える
- ドラムのチューニングと言うのは、『正確な音程を作る作業』ではなくて『自分の好きな音を作る作業』
- ドラムサウンドを決める要素は、シェルの材質+チューニング
- 表ヘッド(打面)でアタック音や音のキャラクター(ピッチや硬さ・柔らかさ)と調整する
- 裏ヘッドで音の余韻(サスティーン)や減衰の仕方を調整する
TOMO-Zドラム教室では、基礎から学べるオリジナルテキストを使って音符やリズムの事を詳しく解説しています!
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